チャーリーさんの花嫁−18page






「あれ?」

 何をしていたのだろう。
 エリは床に横たわっていたまま我に返った。
 すぐ隣にはアキがいて、こちらはまだ眠ったままだ。
 何か、凄く気持ちの悪い夢を見ていた気がしたのだが。
 もやもやとして思い出せない。

「チャーリーさんがいるって事は理科室だよね? て、わっ。外真っ赤。ちょっとアキちゃん起きて起きて!」
「ん、何よ…。て、あれ? なんでここで寝てるのあたし」
「私が聞きたいよ。それより時間々々」
「え? え? えーーーー!? ちょ、やばい、あたしお母さんに怒られる」
「私も、私もー」

 二人は慌てて立ち上がる。

「というか、先生。鍵閉めにこなかったのかな」
「よく忘れてるじゃない、あの先生って、あれ?」
「ん? なに? アキちゃん?」
「さっそく、つけてるの? それ」

 アキの視線の先は、エリの左手に注がれていた。
 薬指にはプラスチック製の指輪。

「あ、れ? いつの間に。でも、ちょうどいいや、チャーリーさんに」
「はめてるじゃん」

 アキの言葉通り、人骨模型の左手薬指には針金ではなく、エリと同じプラスチック製の指輪がはめられていた。

「おっかしいな。いつ取り替えたんだろう」
「本人が覚えてないってどういう事よ。って、それより早く帰らないとっ!」
「あ、そうだった。じゃ、チャーリーさん。また明日ねー」
「あんた、骸骨に挨拶までしてどうするの!」
「だって、婚約してるんだよー」

 パタパタと、足音が理科室から遠ざかっていった。






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