DF−DarkFlame−-第四章-−1page






 顔に日の光を感じ恵は目を覚ました。

「ふふっ、吸血鬼だったら、灰になるところだけど」

 もっともこれからの展開次第では灰になるのも戯言ではなくなる。
 恵がいるのは学校屋上。
 自宅には帰らなかった。
 否、帰る余裕がなかった。
 【燈火】に発見される危険と消耗を避ける為だ。
 それに、恵の家族は刈り尽くしている。捜索願いが出される心配もない。
 本当なら今しばらくここにこもりたいところだが、昨日だけで教師、生徒を数人狩っている。
 騒ぎになるのは時間の問題だ。
 そして、何より、前畑健太郎だ。
 あれを放っておくわけにはいかないし、放っておく余裕もない。
 普通ならオーバーチャージとも言えるほど狩っているのにダメージの回復が追いつかない。
 こうなれば、もはや禁忌に手をだすしかない。

 ”同族食い”

 本来ならば忌避される行為だが、恵には抵抗はなかった。
 余裕がないというのもあったろうが、それはより彼に近づける事であったから。
 どこまでの効果があるかわからないが、今のダメージを補ってあまりある力が手に入るはず。
 そして、昇華を放棄した恵には健太郎の炎術がどのような方向性、どのような才能であっても炎術の型を持たざるが故に受け入れる事が出来る。彼のように。


「あの方の隣に相応しいのは私。みてらっしゃい、樹連」






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