夢と現−3page






 両手に持ったビニール袋に詰めた荷物をようやく降ろす。
 ちょっと買いすぎたようだ。
「まさか特売セールだったなんて…チラシのチェックが甘かったわ」
 一息ついて、買ったものを片づけていく。
「冷蔵庫に全部入るかしら」
 一抹の不安を感じながらも手は止めない。
「牛肉はここ、レモンは…とりあえず後回し、鮭は…」
 ふと手が止まる。

 『どうしてこんな所にいるの?』

 頭を振って作業に没頭しようとする。
 それは理解してはいけない事だから。何故かそう理解していた。
 玄関の方から、ただいまの声。
 娘が帰ってきた。

「お帰りなさい」

 なぜかほっとして、玄関に迎えに行った。






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