チャーリーさんの花嫁−12page






 鏡の少女の案内で、美術室の表札がかけられた教室にたどり着いた。
 なるほど、隣の音楽室からはピアノの音が聞こえる。
 だが、そんな事はどうでもいい。
 戸に触れると、熱い。プラスチックの指先が溶けそうだ。
 だが、それはここがまさに目的地であることを示している。
 我輩は力の限りをこめて、戸を引いた。

「!?」

 そこは美術室という表札が皮肉かのように、まるで絵画のような世界だった。
 ゴミとスス、鉄の壁。そしてところどころに舞う火の粉。
 地獄絵とはこのようなものを言うのだろうか?
 そして、まるで教室の中央に盛り上がったゴミの丘の上に我輩が良く知っている姿を捉えた。

「エリ! いま行くぞっ!」






© 2009-2011 覚書(赤砂多菜) All right reserved