DF−DarkFlame−-第一章-−8page






 なんだ、あいつら?

 彼は様子を伺いながら内心で首を傾げていた。
 同族らしき男、後からきた女は人間。
 狩り…、ではないだろう。彼が知らない同族という事はここのテリトリーのグループという事になるが、ここの連中はどこかおかしい。少なくともこんな狩り方をしないだろう。
 男から感じる炎気はかなり弱々しい。戦えば必ず勝てるだろうし、ついでに女も狩ればいい。
 そこまで考えて、男は自分の考えを打ち消した。

 逸るな、ミスは一回で十分だ。

 同族と人間。もしもこの二人がここを待ち合わせの場所としていたなら、まだ増える可能性がある。
 人間がいる時点で普通はありえないが、ここのグループはとにかく特殊なのだ。
 これ以上誰もこなかったとして、痕跡として残る炎気はどうする。
 ここのグループは通常は総合戦闘力で維持するはずのテリトリーを、情報力を駆使して維持する異端だ。
 残留炎気を探し出し、追跡という事すらやりかねない。

 ん?

 下の二人が外の方へ歩いていく。
 出ていってくれるならそれに越した事はない。
 その上、あんな弱弱しい奴でも【燈火】のグループのはず。
 奴が出入りした以上、この場所の安全度は高まるはずだ。
 自分が出入りした場所に【紅】が潜んでいたなんて思ってもいないはずだ。
 だが、そんな彼の思惑は瞬時に打ち破られた。
 出て行こうとしていた同族がこちらを向いたのだ。
 男と彼の炎気の波長が一瞬だけシンクロしたのを感じ取った。

 ちっ、気付かれたか。






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