DF−DarkFlame−-第二章-−10page






「さすがにあざとかったんじゃないのか?」

 ずっと口を挟まずにいた斬場が言った。

「智子ちゃん、勘がよさそうだし。強引に話を進めすぎたかもね」
「強引どころか全然フェアではない内容だったな」
「仕方ないでしょ。一から十まで本当の事なんて智子ちゃんの前で言えないし、今の健太郎君に言っても、余計混乱するか、下手すると暴走しかねない」

 眼鏡のフレームを押し上げながら、ため息をつく八識。

「実際の所、こっちとしても健太郎君を監視するしかないのよね。あなたはエースかジョーカーと言ったけど、それ以外の可能性だって考えられるし」
「なぜ、健太郎を読まなかった? それが一番手っ取り早いだろう」
「炎気に聡い健太郎君相手にこっそりなんて無理そうだし、やぶをつついて蛇を出すような真似をしたくないわ。例え、ジョーカー。すなわち刃烈だろうと前畑健太郎として生きているうちはなんの問題もないわ」
「賭け、だな」
「そうね、認めるわ。だけど、リスクを避ける手段が他にないのよ」

 こつこつとテーブルを指先で叩く八識の表情は複雑そうだった。
 と、その目の前に新しいグラスが置かれた。

「おかわりです」
「ん、ありがと」

 斬場の方には国籍不明の料理がのった皿を次々と置いていく。
 特に表情に変化なく料理に手をのばす。
 まだ食べるらしい。






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