DF−DarkFlame−-第二章-−11page






「やっぱり…信用できない」

 返る道すがら智子は言った。

「何か、隠してる。そんな気がする」

 健太郎は答えなかったが、智子と同様に感じていた。
 なにより、あの【紅】のDFと戦った夜、炎気、炎術という言葉を知っていた気がしたから。
 八識の説明では知識も覚醒と共に身につくと言っていたが、では牙翼、刃烈の名前は?
 いくらなんでも、DF個人の名前まで最初から知っているはずがない。
 だが、これ以上の追求はしてはいけない気がした。
 これからかも【紅】のDFと遭遇する可能性を考えると八識達にたよざらるをえない。

「それでも、敵に回られるよりよっぽどマシだよ」
「そうだけどっ!」

 我慢できないと言った風に健太郎に言葉にかみつく智子。
 健太郎は智子をなんとかなだめようとしたが、ふと視線を感じた。

 あの人だ。

 見かけたのは前に一度だけ。
 それでも同一人物だと健太郎は確信していた。
 あの時と同じレザーのジャケットとズボン。サングラスはしていなかったので視線があった。
 だが、女性の方は興味ないという風に去っていった。

 あの人も、もしかして…DF?

 中途半端に智子をなだめている途中だったので、爆発寸前の智子に気付かないまま、女性の去った方を見たままだった。






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