DF−DarkFlame−-第三章-−11page
「ん、健太郎君には特に変化もないのね? 分かった、じゃそのまま監視を再開して頂戴」
電話を切って、八識は額を押さえて呻いた。
「まずったわ。まさか、健太郎君の監視まで捜索チームにまわしてしまってたなんて」
幸い、何事もなかったようだが、何かあったらと思うと冷や汗ものだ。
万が一、健太郎が【紅】に誘拐されていたら? 彼が牙翼または刃烈だとしたら?
器を替えた【紅】のDFも重大な問題であったが、だからと言って健太郎を無防備にしていいほど【燈火】にとって重要度は低くない。
「あー、もー。問題だらけ。こんな事なら長なんて引き受けるんじゃなかった」
「引き受けるも何もお前が立候補したんだろ?」
八識と共に事務所にいた斬場が呆れたように言った。
「他にやってくれそうな人がいなかったからじゃないの」
「そりゃ、お前が言ったのが始まりだからな」
私達が生きていけるグループを作る。
その八識の言葉が【燈火】の始まりだった。
八識、斬場、その他【燈火】の信条に賛同した数名のDFで、テリトリーを確保し拡大し奪わんとする敵を排除した。
やがて、【燈火】の噂を聞いたDF達が集い現在に至った。
当初のメンバーで生きているのは八識と斬場しかいない。
【燈火】を立ち上げて初期の激しい争いに散っていった。
「泣き言なんて言う資格なんてないさ。燃え尽きた連中にどう言い訳する気だ?」
「…意地悪ね。少しぐらい弱音言わせてよ」
「事が済んでからにしろ。まだ何も終ってない」
「そうね。健太郎君に器を替えたDF、…そして樹連」
「樹連に関する情報はあいかわらずか?」
「ええ、それどころか、他の【紅】のメンバーを感知したって情報もほとんどなくなったわ」
「引き上げた訳じゃないんだろ」
「恐らく、最後に侵入してきた【紅】のグループの中に知恵が回る奴でもいたんでしょうね。DFなんて何かと無頓着だから、今までは尻尾捕まえてこれたのに」
八識はやるせない思いをため息に込めた。
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