DF−DarkFlame−-第四章-−5page






「間違いなく健太郎君じゃないのね?」

 八識の緊迫した表情が状況を物語っている。

「だめよ。健太郎君には変化が見られないんでしょ? 健太郎君ならその炎気に気付いているでしょうし、身に危険がせまったら炎術を使うでしょ。あなたは戦闘に向いてないんだから、そのまま監視を続けて。本当は人を派遣したいけど、昼間の学校は人がいるでしょ。まだ昨日の夜のうちだったら人よけも出来たでしょうけど、今の状態じゃ無理よ」

 その後、2,3念を押して電話を切る。
 熟考するようにおとがいに手をかける彼女に斬場が声をかける。

「見つかったのか?」
「分からないみたい。炎気の特徴が掴みにくいって」
「見張りの意味がないな」
「元々、健太郎君の見張りだしね。ただ、どちらにしろ放っておくわけにもいかない」
「俺が行く」
「そうね。当たりか外れかまだはっきりしないけど、【燈火】のメンバーじゃない事ははっきりしてる。ダメージがどこまで回復してるか。あるいは別のDFなのか。判断がつかない以上、下手に多少力が強い程度のメンバーを当てて失うよりはあんたが行ったほうが間違いが起きないわ。ただ、実行は夜間にして頂戴ね」
「それまでに逃げられたらどうする」
「学校を包囲しておくわ。あなたも早めに待機していて頂戴」
「分かった」

 事務所の出入り口で斬場が振り向いた。

「お前はどうするつもりだ」
「しばらく、こっちで待機するつもり。樹連の件もあるしね。ただ、夜間には付き合うわ。今度こそ情報を読み取っておきたいから」






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