DF−DarkFlame−-第四章-−9page
「とりあえず、察知はされてないようね」
「これだけの距離で察知されるようでは自信喪失しますよ」
「そうだな、同然の結果だ」
学校から少し離れた道路脇に止めたワンボックスカー内で八識達が待機していた。
「プライドを傷つけたようなら謝るわ。だけど、かなり炎気に敏感なコなのよ。そもそもそうでもなければあなたを招集したりしないわ」
「まぁ、そうですけどね」
後部座席で見た目、中学生か小学生くらいの少年が首を傾げる。
「わざわざオレの《寸断》の炎術使ってまで監視する意味あるんですか? 八識さん。【紅】も野良のほうも力づくで取り押さえた方が手っ取りばやいんじゃ」
「そーね。何のリスクもないならそうしたいわ。本当に」
助手席の八識は悩ましそうに額を指で押さえる。
「何だって急に、健太郎君あーなっちゃったんだろ」
「何だ。気付いてなかったのか」
意外そうに運転席の斬場が口を開く。
「嬢ちゃんだろ」
「あ」
「人質にとられたってところだろうな」
「なんって間抜け」
沈痛な面持ちでさらに頭が沈む。
「篝火、どこまでみつからない自信がある?」
「例の野良が今校舎前って所ですか。位置的には校門前、車が見えるとまずいからその左右ってところですね」
「本当に大丈夫なの?」
「野良が探知タイプの付加型炎術の使い手なら分が悪いですけど、そうじゃなければ、オレの《寸断》の炎術に隔離された空間内は、炎気だろうと炎術だろうと通しませんよ」
見た目は少年だが、篝火の双眸はまるで長年技術を培ってきた職人のように自信と矜持に満ちていた。
「見つからないと仮定して、そこから一気に健太郎君のいる場所までいけるかしら」
「場所次第だな。校舎内だと少々やっかいだが」
「どうやら校舎ではあるけど、校舎内ではないようですよ」
車内3人の視線は屋上に向けられた。
丁度黒い炎に包まれた物体が落下するところだった。
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