DF−DarkFlame−-第四章-−10page






『なぜだ?』

 訳が分からない。
 何故、トモコが死んだ?
 何故、トモコが死ななければならなかった?

『なぜだっ、答えろ!!』

 意識の先には奴がいる。
 友が。
 友だと思っていた存在が。
 そして、トモコを亡骸すら残らず消し去った奴が。

『なぜも何もないじゃない。そいつはただの人間だったんでしょ?』

 答えは彼からではなかった。
 彼の傍らにいる彼女は呆れたように言った。

『別にいいじゃない。カモフラージュ用のつもりだったのかも知れないけど――』
『お前は黙ってろ』

 手で彼女が喋るのを制して、ようやく彼が口を開いた。

『なぜ? それはオレの台詞だろ。何ヶ月だ? いや、もう一年以上だろ。あの女と暮らしていたのは』
『…そうだ、これからも一緒のはずだったんだ』
『頭を冷やせよ。お前は器に引っ張られているだけだ。お前の趣味の悪さは知っているが。それでもいい加減に度が過ぎるぜ』
『趣味とかじゃないっ!』
「ならなおさらだ。お前は自分がただの人間だと思ってるのか? あの女はお前がなんなのか知っていたとでも言うのか?」
『ボクは…』
『いい加減に目を覚ませ。オレ達とあの女は違う存在だ。決して共存できねぇ。決してな』






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