DF−DarkFlame−-第六章-−7page






 凄まじいブレーキ音をたてて横滑りしながらワンボックスカーが校庭に急停車した。
 併走していた、炎術の”馬”から乗っていた2名が降りる。

「ごめん、健太郎くん。遅くなって! 智子ちゃんは?!」

 車から降りながら八識は言って、健太郎の前に横たわる智子を見て口を閉ざす。
 その場にいる全員がDFであったから、遅かった事が理解出来てしまった。

「…悪かったわ。間に合わなくて」
「いえ、本来だったら間に合っていたと思います。樹連がいなければ」
「樹連が居たの?!」
「はい。元々重症だったんですが、樹連の攻撃で…」
「まさか私が学校を指定したせい?」
「それは運だったと思います」

 抑揚のない健太郎の声。

「お願いがあります」
「…何かしら」
「僕も後から追いつきますから樹連を追って下さい。あいつは許せない…」
「そうね。【燈火】でも犠牲者を多くだしたわ。追い出すなんてぬるいわよね」

 その場にいたDF達の瞳が異様に光を放つ。その言葉を待っていたとでもいう風に。

「他に【紅】のDFはいた?」
「宿木、昇華したDFを含めて4名。でもこちらはもう放置していいと思います。樹連と袂を分かちました」
「…そう、じゃぁ先に言ってるわ。急がなくてもいいわ。彼女と納得いくまでお別れしなさい」

 八識が手で合図すると、DF達は車に、炎術の《馬》に乗った。
 最後に八識が助手席のドアを開けて振り返ると、健太郎は変わらず智子の遺体の前に佇んだままだった。
 助手席のドアを閉めて、後部座席のメンバーを見る。

「他メンバーに順次携帯で伝えていって頂戴。現時刻をもってDF樹連の消滅を【燈火】最重要事項とする。テリトリー内の人間、メンバーの犠牲者多数を考慮し、目標の逃走も認めないものとする以上」



第六章 完






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