×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

ダークプリーストLV1 第二章−第08話






 カミスの店を訪れてから二日後。
 宣言どおりカミスは棍のサンプルを持って来た。

「どうかね。色はどうしようもなかったが、大きく差異はないと思うが」

 確かにカミスの言う通り、彼が中庭に並べた5本の棍は一つとして、マドカの棍に近い色がなかった。
 だが、

「凄い……」

 赤い棍を手にとって軽く振っただけで、カミスがいかに正確にマドカの棍をトレースしたのかが良く分かる。
 次々と手に取って試してみる。
 それぞれが微妙に感覚が違う。だが、どれもほんの微細な差。それをカミスは選り分けて持ってきてくれたのだ。

「どれがよさそうかね?」

 マドカはしばし思案し、並んだ棍の一つを手にとった。
 それは黒檀のように黒い棍。
 それがマドカの感覚に一番しっくりときた。

「これでお願いします」
「分かった。では次だな」
「次?」
「これはお嬢さんが使うんじゃなかろう? と、そういえば名前を聞いていなかったな」
「あ、マドカです。使うのは確かに私ではないですが」
「そして、その棍。それはマドカ。お前さんに合わせて作られたものだろう?」
「そうですが。よく分かりましたね」
「そりゃ、それだけ使いこまれたものだからな。言葉を返せばそれだけ使いこめるものでなきゃならない。
 どうしても画一品とは思えなかったからな。恐らく身長に合わせてると見たが」
「その通りです。身長より若干高いくらいと思って頂ければ」
「ふむ、せっかく作るんだ。名前のリストとそいつの身長を知りたいが、集める事は出来ないか?」
「えっと、ちょっと待ってて下さい」

 少し話がややこしくなってきたきらいがあるが、せっかくの好意からの言葉だ。
 アルミス教徒として、受け止めなければ嘘だ。
 しかし、全員を集めるとなると……。

「あ、司祭長っ!」
「マドカ? どうかしたの?」

 女子修道棟から出てきたばかりのアネットを捕まえて訳を説明する。

「正司祭で務めに出ちゃっている人もいるでしょうから、今いる人だけでいいかしら」
「ええ、それで十分だと思います」
「分かったわ。集合の鐘を鳴らしますから、その中から志願者を中庭にいかせるわ」
「すいません。何か大事にしてしまって」
「いいのよ。私もあなたに棒術を教えろなんて無理言ってしまった事だし」

 程なくして鐘がなり、中庭に希望者が集まった。
 いない司祭に関しては、中庭にいる司祭のうちで近い身長のものにあわせる事になった。

「さすがに今度は全部もって来るのは骨だから、取りに来て欲しいのだが」
「わかりました。いついけばいいですか?」
「そうさな。七日後までには仕上げておくので取りに来てくれるか」
「お願いします」





 そして、七日後。
 リーリスと共にカミスの店を訪れると、約束どおり人数分の棍が出来上がっていた。
 誰の棍かは中央に名前が書いてあるとの事だった。

「重いー」
「リーリスが持ってるの、私の半分じゃない」
「マドカと違って体鍛えてないもの」

 後数人で来るべきだったかな?
 マドカは二人居れば十分だと思っていたが、そもそも自分の体力が他の司祭達とは違う事をまったく計算に入れてなかったのだ。

「もーだめー。休もーよ」
「仕方ないなぁ」
「ほら、ミガさんのお店、近くだし」
「分かったから。じゃ、そこまでがんばる」
「はーい」

 そして、ミガの店についた時にはリーリスはグロッキー状態だった。
 さすがにちょっとかわいそうだったかな、とマドカは後悔気味だった。

「棍は店に置かせてもらって、後でもっと人数増やして取りにこようか?」
「あー、それ賛成」

 ミガの息子達が運んできた飲み物をすすりながら、リーリスが挙手する。
 賛成多数で可決かな?
 そんな事を考えた瞬間、それは起こった。






© 2013 覚書(赤砂多菜) All right reserved