チャーリーさんの花嫁−15page






 上半身だけの石膏像が抱えた女生徒をゴミの丘の頂に横たえようとした。
 そうすれば、後はそこから焔が吹き上げ、今度こそ七不思議は完結するはずだった。
 だが、それより先に鉄の壁が前触れもなく崩れ去った。

「…え?」

 廊下の蛍光灯の明かりの下から出てきたのは、黒い刀を持った少年だった。

「あいにくと、こんな物語は持って帰っても喜んでくれないんだよ。僕が仕えるモノは。だから」

 少年はゴミの丘を駆け上がる。勢いで火の粉が舞い上がる。

「破壊させてもらうよ、この七不思議、この物語はっ!」
「ひっ」

 石膏像へ振り下ろされた黒刀は、しかしパレットナイフに阻まれる。

「たいそうな力だ。キミに力を授けたモノはよほどキミの怨念が気に入ったようだ。しかし」

 一閃。少年の振るった斬撃は、パレットナイフを根元から切り払った。

「だとしたら、なおさら放ってはおけないね。僕の仕えるモノも、そして僕自身も。キミに力を与えたモノが大嫌いだからね」
「や、やめて。この子がどうなってもいいの!?」

 石膏像は再び女生徒を拾い上げる。
 そして、突きつけられた黒刀へと向ける。

「…あ、れ?」

 人質にされた女生徒が再び目を覚ました。
 そして、石膏像の肩越しに視線を向ける。

「チャーリーさん?」
「!?」

 石膏像の女生徒を抱えていた方の腕が砕け散った。






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