カミキリバサミ−20page






 翌日、誠はホームセンターに立ち寄った。
 今度は別に武器を求めてじゃない。
 どうも、今日で決着をつけるとなるといてもたってもいられなくなったからだ。
 カミキリバサミ、いや秀和を説得する言葉はまだ見つかっていない。
 だが、たぶんたった一日考えた薄っぺらい言葉を並べたところで通じはしないだろう。
 だったら、当たって砕けろだ。
 半ばやけっぱちの心境だが、他に良策がある訳でもない。

「お、拡声器だ。これでも使ってみるか」

 手にとって見て冗談っぽく言った。
 無論、本気ではない。
 拡声器を元の位置に戻して店内を見渡す。
 家族連れもいれば、どこかへの移動途中に立ち寄った風のスーツ姿も見かける。
 彼らは今の姿を望んだのだろうか? 妥協した? それともまだ諦めていないのか?
 気付くと文具コーナーに来ていた。

「俺にはあんまり縁がないんだけどな」

 本当なら必要なものだったろうに、教師を殴ったせいで退学となった今となっては無用のものだ。
 そう言えば。
 なぜ、教師を殴ったんだっけ?
 ふと、手が自然にあるものに伸びた。
 それは履歴書だった。
 秀和のクリアフォルダを思い出す。
 恐らく何百枚と書いただろう。
 たくさん勉強して、たくさんチャレンジして、そしてその分挫折した。

「手強いなぁ、相手は」

 今日の対決の事を考えて気が重くなった。






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