カミキリバサミ−21page






 街路樹の縁に腰を下ろして休憩する。
 何故か、今日は秀和は来ない気がしていた。
 やがて空が赤く焼けてくるまで座っていたが、最後まで秀和は現れなかった。

「ん?」

 脇においたバッグが震えている気がした。

「まさか」

 ジッパーを開いて中を覗くと白紙の本が微かな燐光を放っていた。
 手にとって見ると燐光は弾けて消えてしまった。
 ただ、本のタイトル部分には、『カミキリバサミのいる場所』と書かれていた。
 ページをめくっていくと手書きのように見える地図と矢印、そこを通る時の注意事項などが書かれていた。

「とりあえず、役には立ちそうだな」

 本を片手に立ち上がり、誠は暗くなりつつある街を駆け出した。






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